Anker Soundcore Liberty 5 Pro Maxとは:AIチップ「Thus」で会議を録って文字にする、¥36,990のSoundcore最上位機
結論から書きます。Anker Soundcore Liberty 5 Pro Max(型番D1204、¥36,990税込、2026年5月27日発売)は、「音楽を最高の音で聴くためのイヤホン」ではありません。騒音のなかで確実に通話し、対面の会話を録音してAIに文字起こし・要約までさせる、いわば仕事道具としての完全ワイヤレスイヤホンです。Anker独自開発のAIチップ「Thus(ザス)」を核に、ウルトラノイズキャンセリング4.0、8マイク+骨伝導センサー、1.78インチAMOLEDタッチディスプレイ搭載ケース、そしてPro Max専用のAIボイスレコーダーを載せています。
そのうえで、買う前に知っておくべき制約もはっきりしています。音質は実機レビューで「至ってフツー」と評価されており、翻訳機能はボタン操作が必要で完全リアルタイムではありません。AI文字起こしの無料枠には期限があり、その先の料金は現時点で公表されていません。この記事は実機計測ではなく、メーカー公称値と公開されている実機レビューの評価を突き合わせて、¥36,990という価格に見合う人・見合わない人を切り分けるためのものです。
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価格・発売日・型番:¥36,990(税込)、2026年5月27日発売
価格は¥36,990(税込)、発売日は2026年5月27日です。販路はAnker Japan公式オンラインストア、Amazon、楽天市場。型番はD1204で、カラーはミッドナイトブラック(D1204N11)とシャンパンゴールド(D1204NB1)の2色です。購入時に型番が食い違っていないか、色の型番まで見ておくと安心です。
なお、本記事で確認しているのは公式ストアの価格である¥36,990(税込)のみで、各販路の実売価格やセール時の値引き幅までは確認していません。Ankerはセール時に価格が動くことのあるメーカーなので、購入前に各ストアの表示価格を必ず確認してください。ただ、値引きを待つ前提で予算を組むより、¥36,990を出す価値があるかどうかで判断したほうが早い製品ではあります。
AIチップ「Thus(ザス)」がこの機種の正体
Liberty 5 Pro Maxの中核は、Ankerが独自開発したAIチップ「Thus(ザス)」です。ニュース記事で見かける「Thus」という表記は誤記や表記ゆれではなく、公式リリースに記載された正式名称です。CPUとメモリを統合し、演算性能を従来チップ比で約150倍に高めたとメーカーは公称しています。
このチップが担う仕事は大きく3つ。ノイズキャンセリング、通話、そしてAIボイスレコーダーです。ノイズキャンセリングは「ウルトラノイズキャンセリング4.0」で、Anker史上最高、前モデル比で約2倍のNC強度と公称されています。ここは正直に補足しておくと、公式リリースは「前モデル」が具体的にどのモデルを指すのかを明示していません。文脈上はLiberty 4 Proとの比較と読むのが自然ですが、厳密には推定であり、「Liberty 4 Pro比でちょうど2倍」と断定できる公称値ではない、という理解が正確です。
通話まわりは8マイク+骨伝導センサーの構成で、新幹線・空港・駅といった騒音下での通話品質を前面に打ち出しています。さらに、完全ワイヤレスイヤホンにおける最高通話性能スコア(G-MOS)として2026年4月にギネス世界記録の認定を受けたことも公表されています。ノイズキャンセリングと通話に振り切った製品である、という性格がここに表れています。
AIボイスレコーダー:ケース背面のボタンひとつで対面録音
Pro Maxだけが持つ機能が、AIボイスレコーダーです。充電ケース背面のボタンをワンタッチするだけで対面の会話を録音でき、Soundcoreアプリ経由でAIによる文字起こしと要約まで通せます。文字起こしは150以上の言語に対応(2026年5月時点)。商談メモや打ち合わせの議事録づくりを、イヤホンとスマホだけで完結させる発想です。
ここで押さえておきたい線引きが2つあります。ひとつは通信条件で、録音そのものはオフラインでも可能ですが、文字起こしと要約にはネット接続が必須です。機内や電波の入らない現場では「録るところまで」しか進みません。もうひとつは録音可能時間で、連続録音の上限や保存容量の公称値は確認できておらず未公表です。丸一日の研修をまるごと録るような使い方を想定しているなら、この点は未知数として見積もっておく必要があります。
そして発売時点で対応しているのは、ケースを使った対面録音のみです。スマートフォンの通話やオンライン会議の録音は「2026年夏頃対応予定」とされている段階で、確約ではありません。リモート会議の録音を主目的に買うのであれば、対応が実際に配信されてから判断するのが安全です。録音機能そのものにより特化した製品を検討したい人は、AI文字起こし対応のAnker製ボイスレコーダーと役割を比べてから決めるとよいでしょう。
なお、対面録音は相手の会話も記録する機能です。商談や面談で使う場合は、録音する旨を事前に相手へ伝える配慮を前提にしてください。文字起こしと要約がネット接続を必要とする以上、処理がすべて手元の端末内で完結するわけでもありません。会社の情報管理ルールがある職場では、持ち込む前に確認しておいたほうが無難です。
正直に書く:文字起こしの無料枠は「月120分・24ヶ月」で終わる
購入判断にいちばん効くのに、製品ページの表からは読み取りにくいのがここです。AI文字起こしの無料枠は「Starterプラン」で、毎月120分まで、期間は初回アプリ接続・ログインをした月から24ヶ月間に限られます。その後も文字起こしを使い続けるには、Pro/Unlimitedプランへの加入か、文字起こしパッケージの購入が必要になります。
そしてその有料プランの料金は、現時点で公表が確認できておらず不明です。つまり3年目以降の実質コストが読めません。録音機能自体は期間無制限で無料なので「録るのはずっと無料、文字にするのは将来有料になりうる」という構造です。枠の感覚をつかむために計算しておくと、月120分は1ヶ月あたり2時間ぶん。週1回30分の打ち合わせなら月約120分でぎりぎり収まりますが、週1回1時間の会議だと月およそ240分となり、無料枠を倍近く超えます。毎日議事録を回すような使い方なら、24ヶ月の無料期間中であっても毎月あっという間に枠を使い切る計算です。ここを織り込まずに「AI文字起こし付きで¥36,990」と評価するのは、少し楽観的すぎます。
翻訳・通訳は10言語対応、ただし「おまけ」と考えたほうがいい
翻訳・通訳機能は10言語(英語・フランス語・スペイン語・日本語・ドイツ語・イタリア語・韓国語・中国語・インドネシア語・アラビア語)に対応し、双方向の会話モードと一方通行型の2種類が用意されています。
ただし実機レビューでは、利用のたびにボタン操作が必要で完全なリアルタイム翻訳ではないこと、そして「Google翻訳の方が上」という評価が示されています。海外出張や接客の翻訳を主目的にこのイヤホンを選ぶのは、率直に勧めにくいというのが実勢の評価です。あくまで、録音と通話を買った人に付いてくる付帯機能として位置づけるのが現実的でしょう。
スペック比較:Liberty 5 Pro Max と Liberty 4 Pro
前モデルにあたるLiberty 4 Pro(型番A3954、¥19,990税込、2024年10月3日発売)と、公称値で並べます。
| 項目 | Liberty 5 Pro Max | Liberty 4 Pro |
|---|---|---|
| 価格(税込) | ¥36,990 | ¥19,990 |
| 発売日 | 2026年5月27日 | 2024年10月3日 |
| ドライバー構成 | 9.2mmダイナミック+デュアル低音補強ダクト | A.C.A.A 4.0(10.5mm+4.6mmの同軸デュアル) |
| ノイズキャンセリング | ウルトラノイズキャンセリング 4.0 | ウルトラノイズキャンセリング 3.5 |
| 再生時間(ANCオン) | 本体6.5時間/ケース併用28時間 | 本体7.5時間/ケース併用30時間 |
| 再生時間(ANCオフ) | 本体12時間/ケース併用50時間 | 本体10時間/ケース併用40時間 |
| 対応コーデック | SBC/AAC/LDAC | SBC/AAC/LDAC |
| Bluetooth | 6.1 | 5.3 |
| マルチポイント | 最大3台 | 2台 |
| 防水(イヤホン本体) | IP55 | IP55 |
| 充電ケース | 1.78インチAMOLEDタッチディスプレイ/USB-C+ワイヤレス充電(マグネット対応) | 前面タッチバー+バッテリー残量表示スクリーン/ワイヤレス充電対応 |
| AIボイスレコーダー | 搭載(録音可能時間は未公表) | 非搭載 |
※すべてメーカー公称値です。編集部による実機計測は行っていません。価格は2026年8月時点のものです。
Liberty 4 Proは「5分充電で最大4時間再生」の急速充電を公称しています。Pro Max側の急速充電については本記事で確認した公称値がないため、比較表からは外してあります。世代間の違いをさらに細かく追いたい場合は、Liberty 5 Pro MaxとLiberty 4 Proの違いを詳しく比較した記事も合わせて確認してください。
再生時間の「見た目の逆転」に注意
比較表でいちばん誤解が生まれやすいのが再生時間です。カタログの目立つ位置には、Pro Maxが「ANCオン6.5時間/28時間」、Liberty 4 Proが「NCオフ10時間/40時間」と書かれます。この2つを並べると、上位機のほうが大幅に短いように見えてしまいます。
しかし測定条件が違います。条件を揃えると、ANCオン同士では6.5時間/28時間(Pro Max)対7.5時間/30時間(Liberty 4 Pro)でLiberty 4 Proが上、ANCオフ同士では12時間/50時間(Pro Max)対10時間/40時間(Liberty 4 Pro)でPro Maxが上、という結果になります。ノイズキャンセリングを常時オンで使う人にとっては、Pro Maxはバッテリー面で前モデルより短くなる、というのが正しい理解です。ノイズキャンセリング4.0の強度と1.78インチのディスプレイ搭載ケースを積んだ代償が、ここに出ていると読めます。
音質は「至ってフツー」:音楽第一なら選ばない
Pro Maxのドライバーは9.2mmダイナミック+デュアル低音補強ダクトという構成で、コーデックはSBC/AAC/LDACに対応します。スペックだけ見れば不足はありません。
ただし実機レビューでの音質評価は「至ってフツー」で、ソニーのWF-1000XM6と比べると劣る、という指摘が出ています。ノイズキャンセリングと通話品質は高く評価される一方で、音楽鑑賞が主目的なら不向き、というのがレビューの結論です。ここは価格帯を考えると重要な情報で、¥36,990は音質最上位クラスの製品と正面からぶつかる価格です。「高いから音もいちばん良いはず」という期待で買うと、いちばん外す買い方になります。
逆に言えば、この機種の予算を音質に振りたいなら選択肢は変わります。純粋にAnkerの中で音と装着感のバランスを見たい人は、Liberty 4 NCとLiberty 4 Proの比較のような下位・中位モデルの検討から入ったほうが、満足度あたりの支出は良くなるはずです。
ケースは確実に大きい
充電ケースには1.78インチのAMOLEDタッチディスプレイが載っており、ノイズキャンセリング強度の調整、モード切替、電池残量の確認、壁紙のカスタマイズまでケース上で完結します。スマホを取り出さずに操作できるのは、実用面で素直に便利なポイントです。充電はUSB-Cとワイヤレス充電(マグネット対応)の両対応。
その代償として、ディスプレイを積んだぶんケースは厚く大きくなっています。実機レビューでも、ポケットに入れて持ち歩くには邪魔になるという指摘が出ています。バッグに入れて運ぶ人なら気にならない一方、ジーンズのポケットにケースごと放り込んで移動するスタイルの人には、日常的なストレスになりうる部分です。ここは好みではなく物理なので、店頭で現物を見られるなら見ておく価値があります。
弟機 Soundcore Liberty 5 Pro(¥26,990)との選び分け
同日発売の弟機、Soundcore Liberty 5 Pro(¥26,990)は、音質・ノイズキャンセリング・通話といった中核仕様をPro Maxと共有しつつ、AIボイスレコーダーとディスプレイ付きケースを搭載していません。つまり差額の¥10,000は、実質「録音・文字起こし・翻訳+ケースの画面」に対する対価です。
判断はここでかなりすっきりします。会議や商談が多く、録音と議事録づくりを日常的にやるならPro Max。音楽と通話が主で録音を使う気がないなら、Liberty 5 Proで十分です。¥10,000を払う理由が「なんとなく上位機だから」なら、その1万円は他に回したほうがいい買い物になります。
こんな人に向く/向かない
向いているのは、次のような人です。新幹線・空港・オフィスなど騒音下での通話が多い人。対面の打ち合わせや商談が多く、録音と要約を1台にまとめたい人。イヤホンを取り出さずケース側でノイズキャンセリングを操作したい人。3台までのマルチポイントで、PC・スマホ・タブレットを行き来する人。
向いていないのは、音楽鑑賞の音質を最優先する人。翻訳機能を主目的にしている人。ケースをポケットに入れて携行したい人。オンライン会議の録音が今すぐ必要な人(対応は2026年夏頃予定で確約ではありません)。そして、2年後に文字起こしの有料プラン費用が発生しうることを許容できない人です。
まとめ:買うべきは「会議と移動が多い人」
Liberty 5 Pro Maxは、¥36,990という価格を音質ではなく「ノイズキャンセリング・通話・録音」に投じた製品です。AIチップThusによるウルトラノイズキャンセリング4.0、8マイク+骨伝導によるギネス認定の通話性能、ケースのボタンひとつで始まる対面録音とAI文字起こし。この3点に日常的な必然性がある人にとっては、価格に見合う道具になります。
一方で、ANCオン時の再生時間は前モデルより短く、ケースは大きく、音質評価は「フツー」で、文字起こしの無料枠は24ヶ月で切れ、その先の料金は未公表です。これらを飲み込んだうえで選ぶなら納得のいく1台ですし、飲み込めないなら弟機のLiberty 5 Proか、音質重視の他社機を見たほうが幸せになれます。
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出典
- https://www.ankerjapan.com/products/d1204
- https://www.ankerjapan.com/pages/soundcore-liberty-5-pro-series
- https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000653.000016775.html
- https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/2112084.html
- https://av.watch.impress.co.jp/docs/review/review/2114147.html
- https://www.gizmodo.jp/article/soundcore-liberty-5-pro-max-review/
- https://www.ankerjapan.com/products/a3954
- https://applech2.com/archives/20241003-anker-japan-soundcore-liberty-4-pro.html