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結論:30Vを「長く」回すならHOOH、軽さと安心感ならバートル

先に言い切る。2026年の空調服バッテリーはバートル「エアークラフトAC10」とHOOH(村上被服)「V30シリーズ」の2強で、スペック表の頂点はどちらも最大30V・風量120L/秒・実売約2万円と横並びだ。だが中身は別物である。分かれ目は「30Vを何分維持できるか」。

  • HOOH V30がおすすめな人:鳶・外構・屋根上など、炎天下で最大風量をできるだけ長く維持したい人。30Vを定電圧で約2.5時間キープ(公称)。IP54明記・USB出力付きも実用的
  • バートルAC10がおすすめな人:腰に付くバッテリーの軽さ(405g)、京セラ設計の安心感、取扱店の多さと値引き幅を重視する人。ただし30Vは安全のため1時間で23Vへ自動降圧(公称)
  • 実売はほぼ同額。参考価格はバートルセット**¥19,305**、HOOHセット**¥19,965**(執筆時点)
  • 総駆動時間の最長はバートル(9Vで約30時間)、最大風量の持続はHOOH(30Vで約2.5時間)と、勝ち筋が真逆

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スペック比較表

項目バートル エアークラフト AC10HOOH V30(V3001+V3002)
最大出力/最大風量30V/120L/秒30V/120L/秒
30Vの持続時間約1時間(以後23Vへ自動降圧)約2.5時間(定電圧で維持)
電圧段階30/23/16/9Vの4段階30/19/17/15/12Vの5段階
電圧ごとの駆動30V:1h→23Vで約5h/23V:約6.5h(自動調整込み)/16V:約11h/9V:約30h30V:約2.5h/19V:約5h/17V:約7h/15V:約10h/12V:約17h
電圧ごとの風量30V:120/23V:91/16V:62/9V:38L/秒30V:120/19V:92/17V:82/15V:72/12V:57L/秒
バッテリー容量5,600mAh/80.64Wh93.63Wh(5,075mAh×5)
バッテリー重量405g470g
ファン重量223g(2個)90g(1個)
充電時間約4時間(専用充電器・USB充電不可)約4.5時間(急速充電)
充電回数の公称—(非公表)約500回
防塵防水ファンは「水洗い対応の防水設計」(IP等級非公表)IP54(バッテリー・ファンとも)
USB出力なしUSB&DC同時出力可
保証—(公式表記確認できず)12ヶ月
設計Engineered by KYOCERA(京セラ)村上被服(HOOH)
メーカー価格合計¥42,900(バッテリー¥29,700+ファンAC10-1 ¥13,200)—(非公表)
参考実売セット価格¥19,305¥19,965

※価格(実売)を除きすべてメーカー公称値です。価格は変動するため参考価格は執筆時点(2026年8月)のものです。

持続力:「30V・120L/秒」を維持できるのは1時間か、2.5時間か

この2台の最大の分岐点がここだ。

バートルAC10の30Vモードは、公称で1時間経過すると安全のため23V(風量91L/秒)へ自動的に切り替わる。23V降圧後は約5時間駆動するので、朝イチから30Vで回すと「最初の1時間だけ120L/秒、その後は91L/秒」という動きになる。実際、販売店ユニフォームネクストのレビュー(206件・平均4.5、執筆時点)でも30Vの風量への称賛と同時に、「30Vは午前で切れる(1時間で強制降圧)」という不満が挙がっている。

対するHOOH V30は「5電圧モード連続出力(定電圧)」を公称に掲げる。選んだ電圧を時間で降圧させず、30Vなら約2.5時間、120L/秒のまま出し続ける設計だ。93.63Whという大容量(バートル比で約16%大きい)が、この定電圧維持の物理的な裏付けになっている。

まとめるとこうだ。

  • 最大風量の持続時間:HOOHが約2.5時間で、バートル(1時間)の約2.5倍
  • 「もっとも暑い時間帯に最強風量を当て続けたい」ならHOOHの設計が合理的
  • バートルの自動降圧は電池保護・発熱抑制のための安全設計であり、欠陥ではない。ただし「30Vを買ったのに30Vを使える時間は短い」点は購入前に知っておくべきだ

真夏の屋根上や鉄骨上で「昼の2時間が勝負」という働き方なら、この差は毎日効いてくる。

電圧設計の思想:4段階の自動調整 vs 5段階の定電圧

電圧ラインナップにも思想の違いが出る。

バートルは30/23/16/9Vの4段階。上2つ(30V・23V)が高出力用、16V(62L/秒・約11時間)が標準、9V(38L/秒・約30時間)が省エネという構成だ。特徴は「自動調整」で、30Vは1時間で23Vへ、23Vスタートでも自動調整込みで約6.5時間というように、システム側が電池を守りながら1日をもたせる方向に振っている。最長約30時間という数字は空調服として非常に長く、「毎日充電したくない」「連日の現場で充電を忘れがち」という人には実利がある。

HOOHは30/19/17/15/12Vの5段階で、こちらは中間帯が厚い。19V(92L/秒・約5時間)、17V(82L/秒・約7時間)、15V(72L/秒・約10時間)と、80〜92L/秒クラスの「強めの風」を実働時間に合わせて選べる。バートルの23V(91L/秒)とHOOHの19V(92L/秒)はほぼ同じ風量だが、HOOHはどの段でも定電圧でスペック通りに出し続けるのが売りだ。

  • 1日の総駆動時間と省エネ運用を重視→バートルの4段階+自動調整
  • 「風量いくつを何時間」を自分で決めて固定したい→HOOHの5段階定電圧

なお、どちらも最大風量時の動作音は公称値がないため本記事では比較しない。大風量機である以上、静音性を期待する製品カテゴリではない点だけ付記しておく。

重さと信頼性:405g vs 470g、そして「京セラ設計」

バッテリーは腰ベルトや専用ポケットに装着するため、重量差は装着感に直結する。公称でバートル405g、HOOH470g。差は65g、率にして約16%HOOHが重い。缶コーヒー1/3本ぶんの差ではあるが、10時間腰に付ける道具では軽いに越したことはない。ただしユニフォームネクストのレビューでは「405gでも重い」という声があり、バートルなら軽くて快適という話ではない。30V級のバッテリーはどちらも「重い」が前提で、その中でマシなのがバートル、と捉えるのが正確だ。

ファンは逆で、バートルAC10-1/AC10-2が2個で223g、HOOH V3002は1個90gの公称値。服の背面に付くファンの軽さはHOOHに分がある。

信頼性の面では、バートルAC10は「Engineered by KYOCERA」、つまり京セラとの共同開発を明示している。前述の販売店レビューでも「京セラ製で充電時に発熱しない」という評価が見られ、リチウムイオンバッテリーの発熱に敏感なユーザーには材料になる。一方のHOOHも充電回数約500回の公称と12ヶ月保証を明記しており、村上被服は作業服の老舗として鳶・職人層に強いブランドだ。どちらかが無名メーカーというわけではない。

なお、NITE(製品評価技術基盤機構)は2025年6月の注意喚起で、リチウムイオンバッテリー火災が5年間で1,860件・34%が6〜8月に集中し、空調服やハンディファンを名指しでリスクを指摘している。どちらを選ぶにせよ、非純正の互換バッテリー・互換充電器を混ぜないことが大前提になる。

保護等級と拡張性:IP54明記とUSB&DC同時出力はHOOHの強み

カタログの「その他」欄で差がつくのがここだ。

HOOHはバッテリーV3001・ファンV3002の両方にIP54(防塵5級・防沫4級)を公称で明記する。粉じんの多い解体・土工事や、急な雨・汗が想定される屋外作業で、数値の裏付けがあるのは安心材料だ。バートルはファンを「水洗い対応の防水設計」と説明するものの、IP等級の公式表記は確認できない。実用上の防水性が無いという意味ではないが、等級で比較したい人にとっては空欄になる。

もうひとつ、HOOH V3001はUSB出力とDC出力の同時使用に対応する。現場でスマホの電池が切れそうなとき、空調服を回しながらモバイルバッテリー代わりに充電できるのは93.63Whという容量ならではの使い方だ。バートルAC10にはUSB出力がなく、さらに充電も専用充電器のみでUSB充電不可(充電約4時間)なので、給電まわりの柔軟性は明確にHOOHが上になる。

ただしUSB出力には裏面もある。国土交通省の2026年4月24日からの航空新ルールでは、「モバイルバッテリー」は1人2個まで・機内での充電給電禁止・収納棚に入れず手元保管と定められた。USB出力付きのHOOH V3001(93.63Wh)はこの「モバイルバッテリー」側で扱われる可能性があり、USB出力のないAC10(80.64Wh)は「予備の電池」(100Wh以下は個数制限なし)として扱われるのが自然と解される。どちらも160Wh未満なので機内持ち込み自体は可能、預け入れは禁止だ。出張・遠征が多い職人は、端子の絶縁を含めて搭乗前に航空会社へ確認してほしい。新ルールの中身とPSEマークの見方は空調服バッテリーの安全と飛行機ルール解説で詳しくまとめている。

HOOH側の細かい注意点として、V3002ファンは羽根が取り外せない構造のため、ホコリが溜まったときの清掃はやりにくい。漬け置き・高圧洗浄はどちらのメーカーのファンもNGなので、手入れは拭き取りが基本になる。

価格と入手性:660円差の実売、値引き幅と色で選ぶならバートル

参考実売価格は、バートルAC10セット(ファン+バッテリー)が**¥19,305**、HOOH V3001+V3002セットが**¥19,965**(いずれも執筆時点)。差はわずか660円で、価格で勝負はつかない。

ただし価格の「出方」が違う。バートルはメーカー価格が合計**¥42,900**(バッテリー¥29,700+ファンAC10-1 ¥13,200)と高く設定され、実売が半額以下まで下がっている。全国の作業服店・ECに広く流通し、店舗間競争で値引きが起きやすい構造だ。楽天市場のプロノ楽天市場店ではAC10セットがレビュー65件・平均4.8(執筆時点)で販売されており、入手性・レビュー母数ともに厚い。ファンもブラックのAC10-1に加えて6色展開のAC10-2(メーカー価格¥14,300)があり、服色に合わせて選べる。

HOOHは楽天・Amazon・Yahoo!で購入でき、鳶服・職人向け店舗に強い。流通の広さではバートルに一歩譲るが、こちらは実売¥19,965で93.63Whという容量単価の高さが実質的な値引きと言える。

バートルで絶対に注意すべきは互換性の断絶だ。AC10バッテリーはプラグ規格変更により、AC09以前の旧ファン全世代と物理的に接続できない。旧エアークラフトからの買い替えでファンだけ流用する計画は成立しないので、必ずセットで揃えること。この互換性問題とAC09からの進化点はバートル AC10とAC09の比較記事で詳しく解説している。

バートル エアークラフト AC10がおすすめな人

  • 腰のバッテリーは少しでも軽いほうがいい人(405g・HOOH比65g軽い)
  • 京セラ設計の安心感、「充電時に発熱しない」というレビュー評価を重視する人
  • 9V(38L/秒)で約30時間という省エネ運用で、充電頻度を減らしたい人
  • 全国の作業服店・ECで買いやすく、セール値引きを拾いたい人
  • ファンの色を服に合わせたい人(AC10-2は6色展開)

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HOOH V30(V3001+V3002)がおすすめな人

  • 鳶・外構・屋根・アスファルトなど、猛暑の屋外で最大風量120L/秒を約2.5時間維持したい
  • 19V(92L/秒・約5時間)など「強めの風を定電圧で固定」する運用がしたい人
  • IP54の明記が必要な粉じん・水しぶきの多い現場の人
  • USB&DC同時出力でスマホ充電もまかないたい人(93.63Wh・充電約500回公称・保証12ヶ月)
  • ただし飛行機移動が多いなら、USB出力付きは「モバイルバッテリー」扱い(1人2個まで)になる可能性がある点に注意

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まとめ

  • スペックの頂点は両者とも「30V・120L/秒・実売約2万円」で同じ。差は30Vの持続時間に出る
  • バートルAC10は安全のため30Vが1時間で23V(91L/秒)へ自動降圧。HOOH V30は定電圧制御で30Vを約2.5時間維持(いずれも公称)
  • バートルの強みは405gの軽さ・京セラ設計・全国区の入手性と値引き幅。メーカー価格¥42,900のセットが実売¥19,305まで下がる
  • HOOHの強みは93.63Wh大容量・IP54明記・USB&DC同時出力・充電約500回公称・保証12ヶ月。実売¥19,965
  • バートルAC10バッテリーは旧ファン全世代と接続不可(プラグ変更)。買い替え組はセット購入が前提

「最強風量を長く維持したい鳶・外仕事ならHOOH、軽さ・入手性・ブランドの安心を取るならバートル」——同じ数字が並ぶ2台でも、選ぶ理由はここまで明確に分かれる。服やベルトファンまで含めた総合比較は空調服・ファン付きベストおすすめランキング2026も参考にしてほしい。

出典