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結論:買う順番は「照明 → 情報 → 電源」

防災ガジェットの記事は「ポータブル電源を買え」から始まるものが多い。だが実際に停電した夜、最初に困るのは電気が使えないことより、家の中が真っ暗で動けないことだ。

だから優先順位はこうなる。

  1. 照明(LEDランタン+フラッシュライト)— 数千円で、その日の夜から効く
  2. 情報(多機能防災ラジオ)— スマホが死んだときの最終保険
  3. 電源(モバイルバッテリー → ポータブル電源)— 予算に応じて積み上げる

この順で揃えれば、予算1万円でも「停電した夜を乗り切る」ところまでは到達できる。以下、カテゴリごとに具体的な選び方を示す。


【第1の柱】照明 — ランタンと懐中電灯は役割が違う

なぜ両方いるのか

  • ランタン=面で照らす。部屋全体を明るくし、家族が同じ空間で過ごせる
  • フラッシュライト(懐中電灯)=点で照らす。暗い階段の移動、分電盤の確認、隙間を覗く

「ランタンがあるから懐中電灯はいらない」は成立しない。逆も同じだ。ランタンを部屋数分、フラッシュライトを人数分が最低ラインになる。

LEDランタン — 充電式+電池式の両対応を選ぶ

防災用ランタンで確認したいのは給電方式の冗長性だ。USB充電式だけのモデルは、電源が尽きた時点でただの置物になる。USB充電と乾電池の両対応、あるいは手回し・ソーラーも備えたモデルが安心できる。

楽天では、手回し・ソーラー・電池・車載充電に対応した多機能タイプがレビュー5,000件超を集めており、価格帯は3,000円前後。2WayタイプのLEDランタン(ランタン+懐中電灯兼用)も1,900件超のレビューで2,970円前後と、照明は数千円で人数分揃えられるカテゴリだ。

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フラッシュライト — 「本数を確保できる価格」を優先

防災用のフラッシュライトで重視すべきは、最大光量より低出力での連続点灯時間と、家族分を買える価格だ。3,000lmのハイエンド1本より、1,000lm級を4本のほうが実戦的である。

汎用18650電池を使うモデルなら、電池が消耗しても交換して長く使える。専用電池のモデルは充電が手軽な反面、電池が入手できなくなると詰む。防災用途では汎用電池が使えることが効いてくる

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注意:ろうそくは防災用の照明として推奨されません。余震で倒れた際の火災リスクがあり、消防機関も停電時の火気使用に注意を促しています。LED照明を人数分用意するのが基本です。


【第2の柱】情報 — 多機能防災ラジオはまだ現役

スマホがあるのに、なぜラジオなのか

理由は3つある。

  1. 基地局が被災すると通信が止まる。放送は受信するだけなので、送信側が生きていれば届く
  2. 消費電力が桁違いに小さい。乾電池や手回し発電でも長時間動く
  3. 輻輳の影響を受けない。災害直後は通信が集中して繋がりにくくなる

つまりラジオは「スマホの代わり」ではなく、スマホが使えなくなった時の別経路として意味がある。

選び方の3条件

条件理由
給電方式が3系統以上乾電池・手回し・ソーラー・USBのうち3つ以上あると詰みにくい
ワイドFM(FM補完放送)対応AM局の番組をノイズの少ないFM帯で受信できる。鉄筋住宅で効く
LEDライト・SOSサイレン内蔵照明と救助要請を1台で兼ねられる

楽天では防災士監修をうたう5,800mAhバッテリー内蔵モデルがレビュー4,082件・平均4.64(7,280円前後)、4,000mAhでソーラー・手回し・人感センサー対応のモデルが3,120件・平均4.49(4,000円前後)と、4,000〜8,000円台が主戦場だ。10年保存電池付きのモデル(946件・4.42/4,979円前後)もある。

※レビュー件数・価格は執筆時点(2026年7月)の楽天市場での実売データです。

内蔵バッテリーでのスマホ充電機能は「おまけ」と考えたほうがいい。 手回し発電の出力は数W程度で、1分回して得られるのは通話数十秒分といった水準だ。ラジオの本質的な価値は情報と灯りにある。

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【第3の柱】電源 — 288Wh級が家族4人・3日の基準線

なぜ288Whなのか

計算するとこうなる。スマホ1台の充電は約20Wh。家族4人が1日1回充電すると80Wh。3日で240Wh。変換ロスを含めると実質300Wh前後が必要になる。

10000mAhのモバイルバッテリー(実効25〜30Wh)で賄おうとすると11本相当で、現実的ではない。だから288Wh級のポータブル電源1台に集約する。

Anker Solix C300(288Wh/定格300W・瞬間最大600W/約4.1kg/リン酸鉄3,000サイクル/AC満充電約68分/通常¥34,990)は、この用途にちょうど収まる。AC×3・USB-C×3(140W×2、15W×1)・USB-A×1・シガーソケット×1の計8ポートで、家族全員のスマホを同時に挿せる。

4.1kgという重さが実は重要だ。防災用品は「持ち出せるか」で価値が変わる。1000Wh級は12kg超になるモデルが多く、階段を運ぶのは現実的でない。

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モバイルバッテリーは「普段持ち歩いている」ことが全て

外出先で被災したら、手元にあるのはカバンの中身だけだ。防災用に別途用意して押し入れに置いておくより、普段使いのものが常に満充電であるほうが遥かに実用的になる。

ACプラグ一体型(コンセント充電器兼モバイルバッテリー)は、平時に充電器として使っている状態がそのまま備蓄になるため、「充電を忘れる」問題を構造的に回避できる。

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予算別チェックリスト

予算1万円 — 「停電した夜を乗り切る」

  • LEDランタン(USB+電池両対応)× 2台 … 約6,000円
  • 多機能防災ラジオ(手回し・ソーラー・ワイドFM)× 1台 … 約4,000円

照明と情報を先に押さえる。 この構成でも、停電初日の夜に困る度合いは大きく下がる。

予算3万円 — 「3日間、スマホと灯りを維持する」

  • 上記に加えて
  • フラッシュライト × 人数分 … 約6,000円
  • モバイルバッテリー10000mAh × 2〜3本 … 約1万円
  • 予備の乾電池(使用推奨期限を確認)… 約2,000円

予算6万円 — 「在宅避難を設計する」

  • 上記に加えて
  • ポータブル電源 288Wh級(Anker Solix C300 など)× 1台 … 約3万円

予算10万円以上 — 「長期停電に備える」

  • ポータブル電源を1000Wh級にグレードアップ、または
  • 288Wh級+100Wソーラーパネルの組み合わせ

1000Wh級 × 100Wパネル1枚は釣り合わない(満充電に3日以上かかる)ので、パネルを追加するなら288Wh級とセットにするか、200Wクラスを選びたい。


半年に1回の点検リスト

買って終わりにすると、いざという時に電池が空・液漏れ・期限切れで機能しない。防災の日(9月1日)と年始など、覚えやすい日にルール化しておきたい。

  • ポータブル電源の残量を50〜80%に調整
  • モバイルバッテリーを満充電に
  • 乾電池の使用推奨期限と液漏れを確認
  • ランタン・フラッシュライトの点灯確認
  • ラジオの受信確認(ワイドFMの周波数をメモしておく)
  • ケーブル類(USB-C/Lightning)が家族全員分あるか確認

最後の項目は見落とされやすい。ポータブル電源があってもケーブルがなければ充電できない。


まとめ

  • 買う順番は照明 → 情報 → 電源。停電初日に効くのは数千円の灯りだ
  • ランタンとフラッシュライトは役割が違うので両方必要
  • 防災ラジオは給電3系統以上・ワイドFM対応で選ぶ。スマホ充電機能はおまけ
  • 電源は家族4人×3日=300Wh前後が基準。288Wh級ポータブル電源1台に集約するのが合理的
  • ポータブル電源は重さも性能。4kg台なら持ち出せる
  • 半年に1回の点検をルール化する。ケーブルの本数も忘れずに

高価な1台を買うことより、役割の抜けをなくすことのほうが実際の停電では効く。まずはこのチェックリストで、自分の家に何が足りていないかを確認してみてほしい。