結論:煙の悩みは「脂をどこへ逃がすか」で選ぶ。焼肉中心なら専用グリル、何でも焼くなら穴あきプレート
冬になると、家族で囲むおうち焼肉や鍋の出番が増えます。SNSでは「ホットプレートは出すのも洗うのも面倒」「部屋中が煙とにおいでいっぱい」という声と、煙の少ない焼肉グリルの紹介が並んでいます。
煙を減らす仕組みは、大きく分けて3つしかありません。
- 脂をプレートに残さない(穴あきプレート・傾斜溝・Xカット構造)
- プレートの温度を上げすぎない(イワタニ やきまるの約210〜250℃制御)
- 出た煙を吸い込む(山善 XGRILL PREMIUMの吸煙ファン)
焼肉が主役で、出し入れも片付けも軽く済ませたいなら、カセットガス式の専用グリル「やきまるスリム」(約1.9kg)。焼肉もたこ焼きも鍋も1台で済ませたいなら、電気式の穴あきプレート付きホットプレートが候補です。
方式別の比較表
各社公式の値です。煙カット率は各社が自社製品と比べた値で、メーカーをまたいだ比較はできません。
| 項目 | 象印 やきやき EA-HA30 | 象印 やきやき EA-KL30 | 山善 XGRILL PREMIUM YGMC-FX130 | イワタニ やきまるスリム CB-SLG-3 |
|---|---|---|---|---|
| 方式 | 電気・穴あきプレート | 電気・傾斜溝プレート | 電気・吸煙ファン | カセットガス・温度制御 |
| 煙への対策 | 穴から脂を水受皿へ | 6度傾斜の溝で脂を流す | ファンで煙を吸い込む | 約210〜250℃制御+脂を水皿へ |
| メーカーの比較値 | 煙が半分(自社平面プレート比) | 油の飛び散り約50%カット(自社比) | 煙約94%カット(自社ホットプレート比) | — |
| プレート | 3枚(穴あき・平面・たこ焼き) | 3枚(傾斜溝・平面・たこ焼き) | 焼き肉プレート | 焼肉プレート(直径約23cm) |
| 消費電力・発熱量 | 1300W | 1300W | 1300W | 1.0kW(ガス) |
| 重量 | 約9.0kg | 約7.0kg | 4.9kg | 約1.9kg |
| 発売 | 2024年8月 | 2026年7月 | 2021年9月(たこ焼きプレート付のFXT130として) | — |
方式1:穴あき・傾斜溝プレート(電気式)
象印 やきやき EA-HA30:脂を穴から落とす
象印は、煙や油の飛び散りはプレートの上に残った脂が原因だとして、深型穴あき焼肉プレートで肉の余分な脂を下に落とす設計をとっています。自社の深型平面プレートとの比較で、
- 煙は半分(NBS発煙性試験装置による発煙量:穴あき110.9、平面297.0)
- 油の飛び散りは約90%カット(プレート温度200℃・10分・牛バラ肉100gで、飛散数が約15,350粒→約1,220粒)
という値を公表しています。水を入れた水受皿の上に反射板を置き、ヒーターの熱をプレートに反射させて温度の立ち上がりを早める工夫もあります。
穴あき・平面・たこ焼きの3枚プレートなので、焼肉以外の料理もこなせるのが強みです。一方、3枚重ねで約9.0kgと重く、収納場所は確保しておく必要があります。
象印 やきやき EA-KL30:傾斜溝で脂を流す
2026年7月発売のEA-KL30は、穴ではなく6度傾斜した溝で脂を流すタイプです。象印は、傾斜溝つき焼肉プレートで油切れ約50%アップ、油の飛び散り約50%カット(いずれも自社の従来品や平面プレートとの比較)としています。溝に落ちた脂が平面スペースに移らない構造で、野菜が脂っぽくなりにくいとも説明しています。
深さ3.5cmの深型平面プレートはすき焼きやパスタなど汁気の多い料理にも使え、**焼肉の頻度がそれほど高くない家庭の「何でもプレート」**として選びやすいモデルです。
方式2:吸煙ファン(電気式)
山善 XGRILL PREMIUM:出た煙を吸い込む
山善のXGRILLシリーズは、プレート裏面を立体的な「X」形にしたXカット構造で油を下に落とすのが基本の仕組みです。上位のXGRILL PREMIUM(2021年9月にたこ焼きプレート付のYGMC-FXT130として発売。現在の公式商品ページは焼き肉プレートのみのYGMC-FX130)は吸煙ファンを内蔵し、煙を吸い込むことで煙約94%カット(日本ラボテックの発煙性試験・自社ホットプレート比)とうたっています。
同シリーズには、ファンなしのXGRILL(煙約70%カット)や、1〜2人用の吸煙グリルXGRILL STORM(煙約85%カット)もあり、比較値はいずれも自社ホットプレートとの比較です。ファン付きは煙対策としては最も直接的ですが、ファンの音や部品の数が増える点も含めて検討してください。
方式3:カセットガス式の温度制御グリル
イワタニ やきまるスリム/やきまるII:温度を上げすぎない
イワタニのやきまるシリーズは、プレートの温度を高温化させないことで脂の煙化を防ぐという考え方です。バーナーとプレートの間に適度に熱がこもる構造で、プレート表面を約210〜250℃にコントロールするとしています。加えて、脂を炎に落とさず水皿に落とす仕組みで煙を減らします。
- やきまるスリム(CB-SLG-3):直径約23cmのプレートを囲む高さ約4.7cmのガードで油はねも軽減。幅・奥行とも約30cm、約1.9kg
- やきまるII(CB-SLG-2):同じ1.0kW・同じ燃焼時間(約217分)の従来モデル、約2.0kg
直火なのでプレート温度の立ち上がりが早いとイワタニは説明しています。電源コードがないので食卓のどこにでも置けるのも、ホットプレートとの違いです。
注意点は2つあります。イワタニは製品ページでテント内・車内では絶対に使用しないよう明記しています。また燃焼器具なので、使用中は換気扇を回すなど換気を心がけてください。NITE(製品評価技術基盤機構)は、カセットこんろを閉め切った場所で換気をせずに長時間使うと一酸化炭素中毒になるおそれがあるとしています。
なお、山善からもカセットボンベ式の「XGRILL Portable」(YGM-GS1、煙約55%カット・自社電気式ホットプレート比)が出ています。
「煙◯%カット」の数字の読み方
ここまでの数字を並べると、94%、半分、約55%……と大小がありますが、この数字でメーカー同士を比べることはできません。
- 比較の相手が「その会社の普通のホットプレート」や「同じ製品の平面プレート」で、基準がそろっていない
- 試験方法や条件(温度・肉の種類・時間)が違う
- 煙が「ゼロ」になるわけではなく、においは別問題
数字は「その会社の中で、どれだけ改善したか」の目安として読み、どの仕組みで煙を減らしているかを比べるのが確実です。
人数と片付けで決める
| 使い方 | 向いている方式 |
|---|---|
| 2〜3人、焼肉が中心、出し入れを軽くしたい | カセットガス式(やきまるスリム 約1.9kg) |
| 家族4人以上、焼肉もたこ焼きも鍋も | 電気・穴あきプレート(EA-HA30) |
| 焼肉はたまに、普段使いのホットプレートが欲しい | 電気・傾斜溝プレート(EA-KL30) |
| とにかく煙を減らしたい | 吸煙ファン付き(XGRILL PREMIUM) |
片付けの手間は、脂がどこに集まるかで変わります。象印のやきやきはヒーターを外して本体ガードとプレートを丸洗いできる設計です(ヒーターと遮熱板は洗えません)。やきまるは水皿に脂が集まるので、使った後に水皿の水と脂を捨てる作業があります。重さも見落としがちなポイントで、約7〜9kgの3枚プレート機は、棚の上から下ろすだけでもひと仕事です。
買う前の注意点
電気式は1300W。同じ回路の同時使用に注意 象印のEA-HA30・EA-KL30はいずれも消費電力1300Wです。100Vで約13Aになるため、同じ回路で電子レンジや電気ケトルを同時に使うとブレーカーが落ちる可能性があります。コンセントの位置と回路の考え方は調理家電の設置とアンペアの記事で整理しています。
電気代・ガス代の目安
- 電気式(1300W):上限で 1.3kW × 1時間 × 31円/kWh = 約40円/時(31円/kWhは全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価。温度調節で通電が切れる時間があるため、実際はこれより少なくなるのが普通です)
- カセットガス式(やきまるスリム):ガス1本で約217分。1本300円と仮定すると 約83円/時
普通のカセットこんろに鉄板を載せない NITEは、カセットこんろを覆うような大きな鍋や鉄板は、カセットボンベが加熱されて爆発することがあるとして使用しないよう呼びかけています。焼肉は専用に設計されたグリルで行ってください。
換気とにおい どの方式でも煙はゼロにはなりません。換気扇の真下に近い場所で焼く、窓を少し開けるといった基本の対策は併用しましょう。
まとめ
| 悩み | 選び方 |
|---|---|
| 部屋が煙だらけになる | 穴あき・吸煙ファン・温度制御のいずれかの仕組みを持つ製品へ |
| 出すのも洗うのも面倒 | 軽い専用グリル(やきまるスリム)か、丸洗いできるプレート |
| 焼肉以外も作りたい | 3枚プレートの電気式(穴あき or 傾斜溝) |
| 煙カット率で比べたい | メーカー間では比べられない。仕組みで比べる |
煙の少ない焼肉は、脂をプレートに残さない・温度を上げすぎない・煙を吸うの組み合わせで実現されています。人数と片付けの手間を基準に方式を選べば、冬のおうち焼肉はずっと気軽になります。冬の家ごはんを手軽にする家電としては、自動調理鍋の比較もあわせてどうぞ。